Postdiction: its implications on visual awareness, hindsight, and sense of agency
後に提示された刺激が、先に提示された別の刺激の知覚に因果的に影響を及ぼすと思われる、後知恵的(postdictive)な知覚現象が数種類知られている。後方マスキング(backward masking)は古典的な例であるが、フラッシュラグ効果(flash lag effect)は様々な興味深い発見で理論家を刺激している。TMSによって引き起こされる暗点(scotoma)とその「後方充填(backward filling-in)」は、ユニークな神経科学的事例を提供している。所見は、様々な視覚的属性が、互いに矛盾しないように、あるいは因果関係の枠組みで矛盾しないように、事後的に再編成されることを示唆している。その基礎となるメカニズムとして、「キャッチアップ(catch up)」、「リエントリー(reentry)」、「異なる経路(different pathway)」、「記憶修正(memory revision)」という4つの原型モデルが考えられてきた。記憶、感覚-運動、高次認知に拡張することで、このような事後予測的な再構成は、複雑な脳において、局所的な神経細胞の相互作用から長距離の結合性まで、時間スケールでミリ秒から数ヶ月に及ぶ神経計算の一般原理であるかもしれないことに注目することができる。"postdictive phenomenon"の運用上の定義は、その根底にある神経メカニズムがそれらで異なっていても、このような広い時間スケールでの感覚・認知作用に適用できるものであると考えられる。このことは、「自由意志」や「sense of agency」を機能的、心理物理的、神経科学的に解釈する上で、大きな意味を持つ。